コーヌスクローネ〜支台歯の歯冠長が短い場合の注意点〜
こんにちは。Weber dental labor 稲葉由里子です。
GWお休み明けの最初の患者様は、下顎コーヌスクローネ、上顎レジリエンツテレスコープの内冠試適と外冠の印象でした。
技工を担当したのは、Weber dental labor 詩織ちゃんです。
ホームページを見てくださり、患者様から詩織ちゃんにお願いしたいと依頼を受けました(^^)
今回のケースは、支台歯がとても短いためコーヌスの維持力を取るのが難しいと思われるケースでした。
しかし、失活歯も多いためリーゲルテレスコープで対応すると将来破折する可能性もあります。
修理がしやすいコーヌスクローネで対応するためには、形成から準備が必要です。
下顎の前歯はしばしば咬耗しており高さが取れないことがあるため、支台形成の際もできる限りパラレルに近い形態にすることが必要だと思います。
今回のように、支台歯が短い場合、内冠の高さを取るために、特に舌側面の形成に注意しました。
下顎の前歯は、歯の全周にコーヌス角6度を付けたとしても、前歯の舌側ではどうしても高さが取れず、維持力が足りなくなってしまうことが多いからです。
これを補うためには舌側の高さをできる限り高くしてみることが必要だと思います。
舌側の高さは最低3ミリは必要だと思います。
上顎は、レジリエンツテレスコープです。
前歯4本は、審美性を考えキャップです。
詳しくはこちらをご覧ください。
内冠を適合させて確認した後、オクルーザルコア、トレーを試適し、いよいよ印象です。
その前に、フェイスボートランスファーと中心位でバイトも記録することも忘れずに!
詳しくはこちらをご覧ください。
印象採得については、日本ではあまり知られていませんが、シリコン印象法(コレクトアプトドルク法)で採って頂くと失敗がありません。
※大切なポイントは、内冠はセットせずに、取り込み印象です。
この方法は、マールブルグ大学歯学部の補綴科レーマン教授(Prof.Lehman)により開発されました。
印象材が歯頸部周囲に掘った溝を伝い、均等の圧力が印象面に注入され、歯頸部まで正確に記録する方法です。
詳しくは、IPSGで開催されているセミナーを受講していただくと実際にご覧頂く事ができますが、こちらのページもご参考になさってください。
全ての工程が終了した後、詩織ちゃんと咬合高径の確認、審美的に1番美しく見えるようにミリ単位での確認を行いました。
この時大切なのが、仮義歯です。
仮義歯においても、最善の方法で製作し、最終義歯のイメージが湧くようにクオリティーを高めます。
患者様は、仮義歯を製作することで、安心感を得る事ができ、笑顔も見せてくださるようになります。
また、はじめて義歯を使う方は、仮義歯を入れることで練習にもなり、スムーズに最終義歯に移行できるというメリットもあります。
このような事は、全て患者様にもお伝えすると効果的でもあり、期待も高まる事でしょう。
という事で、次回は外冠の試適となります。
果たして、短い支台歯ですが、内冠と外冠との間にコーヌス力発揮されるでしょうか?
ドキドキですが、詩織ちゃんの作るテレスコープですから、きっと大丈夫だと思います!
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