コーヌスクローネの内冠試適、外冠印象方法について
こんにちは。
Weber dental labor 稲葉由里子です。
以前お伝えした、下顎コーヌスクローネの形成の注意点、印象の採り方について
に引き続き、今回は下顎コーヌスクローネの内冠試適、外冠印象方法についてお伝えしたいと思います♪
製作をお願いしたのは、Weber dental labor 小泉詩織さんです。
とても丁寧な仕上がりに、患者様からの期待も高まります。
内冠のひとつひとつに、歯牙の番号を書いておくと、間違わずにセットすることができます。
特に下顎の1番などは、似ているため左右逆に試適してしまうこともあります。
(経験ありです。一から再製となりました(-_-))
頬側、舌側がわかるように、印をつけておくと、最後のセット時に助かります。
今回は、歯冠の高さが長いため、維持力がでることが予想されるため、通常通りコーヌス角は6度に設定しました。
歯冠の高さが短い場合は、維持力が発揮されない場合があるため、コーヌス角を5度に設定したり、舌側の高さをパラレルに形成するなどの工夫が必要となります。
こちらは、内冠のピックアップ、外冠印象用のトレーです。
試適を行い、アンダーカットがないかどうかチェックしましょう。
ここで引っかかったり、痛みがあると、せっかくの印象が水の泡となります。
オクルーザルコア。
これが、位置関係の記録を模型に戻すために非常に重要な要素となります。
マージンのネガティブヴィンケル(アンダーカット)の仕上げが綺麗なのは、コナトアを用いてるからです。
実際に口腔内に試適した状態です。
ピッタリ適合しました。
ここで、入らないと、ドクターのチェアータイムのロスとなりますし、後々の適合にも影響します。
本印象前の、支台歯方向や形成のチェックを行っておく事で、こうした適合を得ることができます。
印象前に、バイトを採ります。
もし、上顎のコーヌスクローネである場合は、ここでフェイスボートランスファーも記録します。
バイトは、シリコンバイトだと、どこにでも動いてしまうので、ワックス+ユージノールペーストでカッチリと記録してください。
さて、いよいよ印象に入ります。
トレーの内側にシリコン用の接着剤を塗ります。
オクルーザルコアをユージノールペーストでウォッシュし、しっかりと固定します。
量の入れ過ぎには注意です。ほんの少しで構いません。
この状態で、シリコン印象でピックアップ印象を行います。
※内冠をセットしてから、外冠を印象する方法は間違いです。
維持力を正確に出すことと、それが長く続く事が必要です。
そのため、内冠と外冠は精密にゼロフィッティングで適合させる必要があります。
正確にミリング、あるいは研磨機を用いて研磨された内冠で、直接外をワックスアップし、埋没剤の混水比により膨張率を調節し、ゼロフィッティングさせる事ができます。
石膏模型は膨張しますから、できあがった外冠は膨張してしまい、維持力を失ってしまいます。一度維持力を失った外冠は、再度維持力を出す事はできませんので再生しなければなりません。
こちらが、内冠をピックアップした印象です。
内冠は必ずしも、こうしてくっついてくるわけではなく、支台歯に残ってしまう場合は、外れて印象される場合もあります。
その際は、ラボにそのまま送り返してください。
こちらで、拡大鏡を使って確認をし、浮き上がっていないかどうかチェックさせていただきます。
まず、浮き上がっていることはほとんどありませんが、万が一浮き上がってしまった場合は再印象をお願いすることがあります。
大事なポイントなので、ここは一歩戻ります。
次回は、外冠の試適となりますので、ここでシェードテイキングもお願いいたします。
ということで。
次回は、一番大切な試適でのチェックポイントについてお伝えしたいと思います!
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