初めてのコバルトクロムリーゲル完成しました♪

こんにちは。

Weber dental labor 稲葉由里子です。

前回ご紹介させていただいた、リーゲルテレスコープ外冠試適時のチェックポイントについて

に引き続き、コバルトクロムによるリーゲルテレスコープが完成しました!

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最後まで、大変きめ細やかな技工をしてくださったのは、京王歯研の歯科技工士小林さんです♪

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すべて失活歯のため、リーゲルレバーの最後方歯に負担がかかり破折してしまう可能性があります。

このような場合、失活歯はコーピングし・・・

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その上にシュレーダ・ゲシーベをのせると良いでしょう。

これは稲葉先生が考案した方法で、失活歯への負担を軽減させるのに効果的です。

最近、レバーがかかる支台歯にインプラントを植立させれば、更にリーゲルが長持ちするのかなと、思います。

私自身がインプラントを行えるようにするのが、今後の課題です。

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咬合面観です。

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正面観。

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実際に口腔内に試適してみると、適合もバッチリでした♪

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コバルトクロムの素晴らしさは、薄くて軽い。そして強度があること。

1年前にWeber dental labor を開設した時、Tuebingen大学のWeber教授が、できる限りはやくコバルトクロムの加工技術を取入れる必要があると強く薦められました。

その時は、なぜだろう・・・

と思いましたが、実際にドイツのSAE 放電加工機の会社の訪問や、今回のコバルトクロムの症例を通じてよく理解ができました。

今迄もチタンのリーゲルはいくつか経験していますが、強度が必要な場合の第一選択肢はコバルトクロムだと思います。

“Passive Fit”

電鋳や放電加工技術の強度や適合は今ある歯科技工で一番精度が高い技術です。

精度のランクとしては、Good fit,Average git,Loose git,Poor fitがあると言われていますが、Passive fitは歯科における鋳造法で制作された冠等の適合限界を意味します。

Weber dental labor でも早く取入れたいと切実に思います。

日本では、神奈川歯科大学病院、そして京王歯研の2つの技工所にしかありません。

可撤性テレスコープを普及させるためにも、放電加工機の導入は私の夢でもあります。

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患者様はすべて失活歯だったので、ゴールドの重みには絶えられないと思いコバルトクロムを選択させていただきました。

セット後、患者様がおっしゃったのは、

「薄いですね!発音も普通にできていますよね?上あごの部分も全く気になりません。少しは違和感があると思っていたので安心しました。」

とのことでした。

実際に唇に覆われると、義歯であることは全くわからず上品な口元となりました。

コバルトクロムの鋳造は、とても熟練した技術が必要です。

また、大変な技工作業であることは言う迄もありません。以前、京王歯研の代表関さんがおっしゃっていたことは、ひとつのリーゲルテレスコープの技工作業の平均製作時間は、150時間、160時間かかるということです。

場合によっては、前装のやり直し、バイトの問題があると、もっと時間がかかります。

全顎ケースに共通にお願いしたい事は、
『正確なバイト』をとっていただくことです。

「先生方は簡単に削合、修正をだしますが、作る側はこのように長時間かかっています。
これまで、やって来た事がすべて無駄になってしまうということを知って頂きたいと思います。」

と関さんもおっしゃっていました。

私も含めて、ドクター側は、何度もチェックしてお互い遠回りしないように確実なチェックバックを行う必要がありますね。

初めてのコバルトクロムリーゲルは大変想い出に残る症例となりました。

後日、患者様からも感想をいただこうと思います(^_<)-☆

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