失活歯を用いたリーゲルテレスコープの限界と留意点

こんにちは。

Weber dental labor 稲葉由里子です。

今回は、平成24年にリーゲルテレスコープをセットさせていただいた患者様の症例をご紹介させていただきたいと思います。

患者様は40代女性、重度の糖尿病に加え透析も受けていらっしゃいました。

当時いくつかの歯科医院に相談に行かれ、どこへ行ってもインプラントを勧められていたそうです。

しかし、このように全身疾患をお持ちの患者様へインプラントを勧めることは大変リスクだと感じます。

そして患者様もインプラントは希望されていませんでした。

上顎7本残っていましたが、全て神経がない失活歯、とても厳しい条件でした。

内冠を左右一次固定、リーゲルテレスコープの外冠で二次固定し、5年間何事もなく快適に使っていただいておりました。

ですが、弱い失活歯は悲鳴をあげていたのでしょうね。

内冠がコアごと脱離するようになってきました。

リーゲルテレスコープは取り外しができるブリッジの感覚でお使いいただけますが、やはり今回の場合、支える歯の本数が少なかったこと。また、全て神経がなかったことなどがあり負担がかかりすぎました。

このようなケースの場合、患者様に将来起こりうるリスクを考え、レジリエンツテレスコープを選択した方が安全だったかなと今振り返ると感じます。

下顎もリーゲルテレスコープで治療をさせていただきましたが、やはり失活歯を利用しているので今後注意深く見守る必要があります。

あらかじめ、内冠が脱離することを想定していたので、仮義歯を準備をしておきました。

製作してくれたのは、Weber dental labor 詩織ちゃんです。

噛み合わせもピッタリ、無調整でセットすることができ、患者様もびっくりされていました。

詩織ちゃんの技工は仮義歯であっても手を抜きません。本当に丁寧です。

来年より、レジリエンツテレスコープで作り直しをさせていただく予定です。

失活歯を用いたリーゲルテレスコープはかなりハイリスクです。特に最後方歯が失活歯でリーゲルレバーがかかる場合は要注意。

失活歯の場合支台歯を傾斜させるような力を避け、咬合力を歯軸に伝えるのみにすることが大切です。

日本では残念ながら失活歯が多くみられますが、テレスコープシステムを応用した補綴は神経がある有髄歯が条件です。
抜髄をできる限り避けたいと思います。

患者様は、5年間弱い歯である事はわかっていたけれど、以前のように前歯に金属の金具が目立ち悩んでいたことを考えると、本当に快適に過ごすことができました。

と感謝の言葉をいただき、私も患者様に感謝の気持ちとなりました。

今後移行するレジリエンツテレスコープは、自由に口元を作ることができ審美的にも美しい義歯です。

とお伝えさせていただきました☆彡

もしよろしければ、

リーゲルテレスコープの最後方歯の破折を防ぐには?

も合わせてご覧ください。

 

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