下顎コーヌスクローネの形成の注意点、印象の採り方について

こんにちは。

Weber dental labor 稲葉由里子です。

日本で一番広まっているテレスコープ、コーヌスクローネの形成の注意点や、印象採得方法についてお伝えしたいと思います。

コーヌスクローネの支台歯は基本的に生活歯を利用しますが、十分な注水下で形成を行い、抜髄する事はできる限り避けましょう。

後に歯根破折の原因となります。

本印象の前に、仮印象を送って頂ければ、方向性のチェックなどをラボで行う事ができ、チェアーサイドでの調整を短縮することができます。

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下顎の前歯は、歯の全周にコーヌス角6度を付けたとしても、前歯の舌側ではどうしても高さが取れず、維持力が足りなくなってしまうことが多いようです。

これを補うためには舌側の高さをできる限り高くしてみることが必要だと思います。
舌側の高さは最低3ミリは必要だと思います。

もう一つの対策として、コーヌス角を5度にして維持コーヌスを作ることが良いと思います。

ちなみに。

コーヌス角については、こちらをご参考になさってください。

コーヌス角とテーパー角の違いについて

下顎の前歯はしばしば咬耗しており高さが取れないことがあるため、支台形成の際もできる限りパラレルに近い形態にすることが必要だと思います。

たとえ支台歯が短い場合でも、内冠の高さを十分取る必要があると思います。

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今回の患者様においては、前歯の高さは十分にとれますが、生活歯はコーヌス角6度。

失活歯は維持コーヌス、テーパーを7度で調整をしようと思います。

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印象採得については、日本ではあまり認知されておりませんが、シリコン印象法(コレクトアプトドルク法)で採って頂くと失敗がありません。

この方法は、マールブルグ大学歯学部の補綴科レーマン教授(Prof.Lehman)により開発されました。
印象材が歯頸部周囲に掘った溝を伝い、均等の圧力が印象面に注入され、歯頸部まで正確に記録する方法です。

詳しくは、IPSGで開催されているセミナーを受講していただくと実際にご覧頂く事ができますが、こちらのページもご参考になさってください。

コレクトアプトドルク法

他にも、通常先生方が慣れている印象方法、寒天などで採っていただいても構いません。

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バイトは中心位で採って頂きたいと思いますが、万が一ずれていたとしても、この時点ではリカバリーできますので、模型付着後、ご相談しましょう。

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その他は対合歯の印象と、フェイスボートランスファーをラボに送って頂きますが、今回はチェアーサイドで対合歯を付着したので、それでも構いません。

バイトフォークは毎日使う物ですから、ラボに預けてしまうと使えなくなってしまいますものね。

最後にとても大切な事は、テンポラリークラウンをしっかり製作することです。

海外にお住まいの方の治療など、長期に渡る場合は、メタルテンポラリーが必要な場合もあります。

位置関係がズレないように、しっかりとしたテンポラリーを製作していただけると、ラボサイドとのやり取りがスムーズになります。

ということで。

今回の技工は、詩織ちゃんにお願いしました♪

次回は、内冠の試適と外冠の印象となりますが、ラボサイドの仕事も含めてお伝えして行きたいと思います(^_<)-☆

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