上顎コーヌスクローネの注意点と完成まで

こんにちは。

Weber dental labor 稲葉由里子です。

先日、久しぶりに上顎のコーヌスクローネの症例がありました。

患者様は、日本にお住いのマレーシアの方、もうすぐ帰国されるので、その前に入れ歯を作りたいということで来院されました。

リーゲルテレスコープも選択肢の中にありましたが、全て生活歯でもあり、歯冠長も確保できそうだったので、コーヌスクローネを選択しました。

上顎の場合、重力の重みで、義歯が外れやすいということも考慮しないといけません。

短い支台歯や失活歯の場合は、リーゲルテレスコープかレジリエンツテレスコープを選択すべきでしょう。

帰国まであまり時間がない。

ということで、大ベテランの高木くんにお願いすることにしました。

彼と私の付き合いは、30年近くになります。

当時、顧問の稲葉繁先生が開業していた伝通院歯科の院内ラボに勤めた事が始まりです。

手がけているテレスコープは、何千個だと思います。(きちんと数えてませんが、常に20症例を抱えているので、年間100個と少なく見積ったとしても、3.000症例になると思います!)

出来上がった、コーヌスクローネ。

試適の際、維持力や適合を細かくチェックしたため、セット時も安心でした。

内冠と外冠は同時にセットが、本場ドイツ流です。

コーヌスクローネにセット方法については、こちらをご覧ください。

▼コーヌスクローネセット方法について

下顎は、レジリエンツテレスコープで製作しました。

上顎のコーヌスクローネの注意点は、咬合チェックにあると思います。

犬歯でガイド、アンテリアーガイダンスが強すぎると、義歯が動きます。

下顎は問題ありませんが、点で当たらせずに面接触のグループファンクションにし、義歯が揺れないように最後の咬合調整がポイントになります。

コーヌスクローネは、使っているうちにゼロフィッティングするので、セット後しばらく様子を見る事が大切でしょう。

セット後、1ヶ月が経過しました。

コーヌスクローネはその後沈み込みをし、ゼロフィッティングしていました。

「両脇のノブを使わないと、外すのが難しいのですが、これは普通ですか?」

と聞かれるほどでした。

私が取り外してみたところ、ちょうど良い抵抗だったので、このまま様子を見ましょうとお伝えしました。

患者さまは、すっかり慣れてくださり、友達から入れ歯だということが気づかれないので嬉しいとおっしゃっていただきました。

大変喜んでいただき、最後は私との記念写真を撮り、別れました。

1年に1度日本にきていただき、メンテナンスをしていく予定です。

上顎コーヌスクローネは、ガイドが強いと義歯を揺らしてしまう可能性がありますが、咬合に気をつけて製作すれば大丈夫だということを改めて実感し、また勉強させていただきました。

 

 

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