リーゲルテレスコープのご紹介〜特徴とメリット〜

こんにちは。

Weber dental labor 稲葉由里子です。

前回、リーゲルテレスコープのご紹介〜歴史編〜をお伝えして参りましたが、今回は〜特徴とメリット〜について、先生方にお伝えしたいと思います。

リーゲルテレスコープは、現在でもドイツマイスター試験の必須項目とされています。

費用はかかっても質の高い長持ちのする治療を受けるドイツ人の考えから生まれたテレスコープは、歴史編でもお伝えさせていただきましたが、長い歴史を持つことから世界でも信頼されている技術です。

患者様の中にはビニール袋の中にたくさんの入れ歯を入れてきて、どれも合わないと訴える方がいらっしゃいます。

これらの入れ歯を一つにまとめ、良質で高度な技術と材料を使用することができれば、高齢者となったとき、歯を失わず快適で豊かな食生活を送ることが可能です。

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リーゲルテレスコープは、全部歯を喪失している総義歯の方にではなく、ある程度の本数を保っている方に適応されます(6本から10本程度)

日本の部分入れ歯はクラスプというバネを残っている歯にかけるものがほとんどです。

歯は噛む力(歯軸)方向には強いのですが、横にかかる力にたいしては非常に弱いです。

クラスプはアンダーカットを利用し、歯を横に揺らしてしまいます。

そのため歯が動揺し、骨が吸収、あたかも歯周病と同じような症状で抜けてしまいます。

最近では、パーシャルデンチャーに重要なレストがないものを多く目にするようになりました。

特にシリコンのような素材の審美義歯に多くみられます。

レストは歯軸に力を伝えるために重要なものであるということも、頭に入れておきましょう。

リーゲルテレスコープの一番の特徴は、残存歯をすべてを固定(一次固定)できること。

固定することで、歯を揺らす事なく、全体で力を分散させることができます。

現在、歯を失った方に対してインプラントを考えられる患者様が沢山いらっしゃいますが、なかにはインプラントで対応できない事例もあります。

患者様に、取り外しができるブリッジのような感覚だと説明して差し上げると、入れ歯になるという不安感を取り除く事ができます。

患者様は、『入れ歯』という言葉に非常に敏感です。

テレスコープシステム、リーゲルテレスコープ、取り外しができるブリッジのような・・・

など、しっかりとプライドを保てる様な言葉を選択しながら説明することがポイントになると思います。

二番目の特徴としましては、歯周病の患者様に効果があることです。

一次固定を行う事で、全体を内冠で連結、T-fixするような感覚です。

実際に、かなり重度の歯周病がある方でも、私の患者様で16年間1本も失う事なく機能していらっしゃる症例もあります。

歯周病の方こそ、できるだけ早く固定し、それ以上歯を失わないように支台歯にかかる負担を分散させることをおすすめいたします。

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三番目の特徴は、シュパルテやトーションバーなどを付与して口蓋を利用できることです。

パーシャルデンチャーとは一歯欠損から一歯残存の取り外しの床がついた義歯のことを言います。

歯の本数が少ない場合、安定が悪いため、両側をバーで金属で補強します。

保険で適応される左右の義歯をただ、既成の金属でつないだものは、噛んだ力がそのまま反対に伝わってしまい、噛んだ力でバーをてこして、反対の歯を抜いてしまうような力が加わります。

そのため、バーの設計は歯を守るために、非常に大切なものですが、大学でもその設計について教えられていないことがほとんどのようです。

トーションバーは、ねじれた形をしていて、たとえば右側でかんだ力をバーで吸収し、左側に影響がないような形になっています。

アディダスの靴の底にトーションシステムというのがあります。

これは、歩いた時の衝撃をトーションシステムのねじれた形で吸収して前足と後ろ足に伝わらないようして負担を軽減するようなクッションです。

それと同じような考えがトーションバーです。

そして、最近ではテレスコープはほとんど、シュパルテという床で対応しています。

シュパルテは総義歯の大家、Dr.shleich から教わった方法です。

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とても斬新な形で、一見これが口の中に入ると違和感を感じそうですが、これが本当に結果が良いのです。

非常にデリケートな方にも受け入れて頂き、みなさんそろって「違和感がない」とおっしゃっていただけます。

トーションバーのねじれによって力を吸収するのと一緒で、アルファベットのEの形で真ん中に伸びたところで力を吸収します。

トーションバーも優れていますが、圧倒的にこのシュパルテで対応することが多くなりました。

ぜひ、先生方も臨床で使って頂きたいと思います。

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リーゲル(Riegel)とはドイツ語で閂(カンヌキ )のことで、これを維持装置に使っています。

義歯の中に小さな鍵がかかるようになっています。

これは、鍵をしめると舌でさわってもわからないようになっているのでほとんど違和感がありません。

この鍵を開くと(手で簡単にあけることができます)、すっと入れ歯を取り外すことができます。

もちろん、寝るときは、歯磨きをして、装着したままお休みになれます。

インプラント治療ができない方、歯周病が進んでいる方などに対して、もう1つの選択肢としてお薦めされてみてはいかがでしょうか。

リーゲルテレスコープは、細やかな技工操作を必要としているため、熟練した技工技術が必要となります。

Weber dental laborでは、IPSGのテレスコープ実習を受講してくださった先生方のサポートをさせていただきたいと思います。

受講したけれど、いざはじめようとしても手順がわからない。
設計が果たして正しいのかどうか不安。
という先生方がスムーズに診療を進めていけるように、細かなアドバイスもさせていただきますのでどうぞご安心ください。

ご質問なども承りますので、遠慮なくお問い合わせください。

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