レジリエンツテレスコープの重合方法について

こんにちは。

Weber dental labor 稲葉由里子です。

年明け最初の詩織ちゃんとのお仕事は、レジリエンツテレスコープの試適でした。

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レジリエンツテレスコープは、詩織ちゃんが最も得意とするテレスコープです。

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支台歯の本数は5本、それぞれ歯冠長が短いためコーヌスクローネではなく、レジリエンツテレスコープで対応させていただきました。

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試適の時のチェックポイントは、内外冠の適合、噛み合わせや、咬合高径はもちろんの事ですが、審美的なチェックが非常に大切となります。

常に模型は綺麗に仕上げ、患者様に喜んでいただけるようにしたいものです(^_^)

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さて、本題となりますが、今回はレジリエンツテレスコープに推奨される重合方法についてお伝えしたいと思います。

先日、詩織ちゃんがレジリエンツテレスコープの重合をイボカップシステムで行っていました。

「何してるの?」

「内外冠の中にレジンが流れ込まないように、シリコンを入れてるんです。」

と、全体中をかけて必死で押していました。

イボカップシステムは3トンの圧力をかけ、重合収縮を補正して製作しますが、あまりにも圧力が高すぎて、内外冠の中にレジンが入り込んでしまうとのことでした。

私は、この内外冠にレジンが入り込まないように神経を使い、シリコンを入れ込む作業が、実はとても大変だということを知りませんでした。

「イボカップで重合お願いします」

と私達歯科医師は、普通にお願いしていたと思うのですが、技工士にとっては、大変リスクを伴う作業だったのです。

一気に均等に入れないと、精度が狂ってしまうのです。

全体重をかけて押し込むほどの力を、内外冠の間にシリコンを入れるために注ぎます。

均等に力を入れて、押し込まないと、曲がった状態で出来上がってしまうこともあります。

このようなリスクを避けるためにも、レジリエンツテレスコープにおいては、イボカップによる重合ではなく、他の重合方法をおすすめしたいと思います。

支台歯が2、3本で離れている場合は大丈夫ですが、今回試適を行ったような多数歯の場合は、まず無理です。

レジリエンツテレスコープの精度を保つためにも、他の重合方法、例えばPVPMなどでオーダーをいただければと思います。

『重合』

と聞くと、上下に分かれるフラスコに蝋義歯を埋没したのち、そこにレジンを詰めて熱湯で重合させるという簡単な方法を思い出します。

レジンは元々熱を掛けると必ず収縮します。

そのため、フラスコの中でレジンは重合収縮を起こし、床の中で気泡となって残ってしまったり、変形の原因になったりします。

保険の入れ歯を長く使用すると気泡の中へ色素が沈着したり、臭いの原因となったり、破折しやすくなってしまったりするのはこのことが要因となるからなのです。

そのような原因を解決できる方法として、イボカップシステムが開発されました。

大変手間ひまのかかる重合方法ですが、結果が素晴らしい。

総義歯において、イボカップシステムは精度を最大限発揮させますが、レジリエンツテレスコープにおいては、内外冠の精度にも影響するため、PVPMなど他の重合方法で製作した方が良いでしょう。

また、詩織ちゃんの得意な事は、こうしてできあがった義歯の研磨です。

驚くほどに美しく、輝いていて、いつもうっとりするほどです。

PVPMで重合された、レジリエンツテレスコープの精度は、イボカップ同様に高いため、ぜひおすすめしたいと思います♪

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