義歯のリベースの方法について
平成14年に装着させて頂いた、テレスコープ義歯が16年経過しました。
当時、上顎はリーゲルテレスコープで治療をさせて頂きましたが、支台歯の本数や失活歯が多かったこともあり残念ながら歯を失ってしまいましたが、義歯は修理をしながらそのまま使って頂いています。
下の歯も同じくリーゲルテレスコープです。
当時は、表面をゴールドを使っていましたが、現在は材料も進化し、白くすることほとんどですが、やはり素晴らしい材料だと思います。
16年間の間、左下の奥歯の神経の治療をさせて頂きましたが、何も変わらずに使って頂いています。
当時、ドレーリーゲルを付与したのですが、沢山歯があったので、使わずにとっておいて、歯を失った時につけようと思ったのですが、失うことなく経過しています。
今回、上顎の床の部分の着色や劣化があったので、リベースを行うことになりました。
さて、リベースとはどのように行われるか、実は私もよくわかりません。
そのため、今回のリベースを機会に、稲葉歯科医院の院内ラボ、Labo.Intecの高木君に教えてもらいました。
先生方がチェアサイドで行う、直接リベースの方法もありますが、レジンの質の問題で、劣化しやすいため、できることならばラボサイドでお願いできる環境があればいいなと思います。
テレスコープ義歯は修理をしながら長く使っていただくものなので、院内ラボや、歯科技工士の存在は必須となると思います。
内面にアドヒーシブを塗っていただき、シリコン印象材で印象します。
できる限り、ぎゅっと押してください。印象材に厚みが出てしまうと、リベース後の義歯も厚みを増してしまうからです。
対合歯も印象を採り、パラフィンワックスでしっかり噛んでいただきます。
これは、咬合器に付着した時に、戻りやすくするためです。
今回、Labo.Intecの高木君にお願いし、リベースの工程を教えてもらいました。
石膏を流す前に、周りをシリコンで土手のようなものを作っておきます。
土手より、他に流れてしまうと、義歯を取り外す時に非常に大変です。
こんな感じで、模型を注ぎます。
模型を注いだ状態で、咬合器に付着。
これを行なっておかないと、浮き上がりの原因ともなります。
シリコンで外形を記録します。
辺縁部分もオーバーに採れているところは、パラフィンワックスでリリーフし、シリコンが固まったところでパラフィンは溶かします。
ラボ用のシリコンは、チェアサイドと違い口腔内には使えませんが、ラボでは大活躍するシリコンです。
そして、着色や劣化している部分を削り取ります。
金属部分にはプライマーを塗布します。GCリラインプライマー(レジン用)
先ほどのシリコンに合わせて、レジンを注入します。
ここで、浮き上がると大変なことになるので注意が必要です。
レジン注入完了!
ここで、咬合器に戻しバイトが狂っていないか確認します。
ここから、模型から義歯を取り出すのも大変な作業となります。(石膏まみれになりながら、削り出します。)
研磨して、完成となります。
リベースとは、こんなに大変な作業であることを思い知らされました。
技工士が、集中して仕事をしても、4時間はかかります。
院内ラボがあるということは、4時間のお預かりで済みますが、ラボがない場合には、お預かりという形になるので、仮義歯を準備する必要があります。
おそらく、1週間は日にちをいただくと思いますので、リベースを行う際はそれらを考慮して行っていただき、患者様にも十分にご説明をし、作業に見合った費用を頂いていただければと思います。
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