パーシャルデンチャーとテレスコープシステム 理論と実習コース開催されました②
レポート/Weber dental laboa GmbH 歯科技工士 小泉詩織
2017年2月18日、19日に開催されました「パーシャルデンチャーとテレスコープシステム 理論と実習」の2日目のレポートをさせて頂きます。
午前中に稲葉繁先生から講義をして頂き、午後は1日目と同じく高木清孝技工士に製作デモをして頂きました。
その後、稲葉歯科医院に勤務されている佐藤孝仁先生、小西浩介先生からも講演して頂きました。
稲葉繁先生はリーゲルテレスコープについて講義してくださいました。
まずリーゲルの意味ですが、リーゲル(Riegel)とはドイツ語で閂(カンヌキ)のことで、テレスコープシステムの一つです。
テレスコープシステムの歴史は長く、1886年にR.W.Starrがシリンダタイプの可徹性ブリッジタイプを考案されました。
現在のように精密なテレスコープシステムの方法になったのは1929年だそうです。
リーゲルテレスコープにはレバーの動きの方の違いによって種類があり、旋回リーゲルと回転リーゲルに分けられます。
現在、回転リーゲルよりも旋回リーゲルの方を用いられるパターンが多いことと、その理由もお話しくださいました。
旋回リーゲルは製作デモを行うため、特に回転リーゲルの製作法について詳しく説明して頂きました。
回転リーゲルはしばしば特殊な機材を使用して製作していきます。
そのやり方を写真や図を用いて分かりやすく説明してくださいました。
旋回リーゲルはレバーについて触れられました。
日本ではレバーはプラスチック片を利用して何もかも一つ一つ手作りです。
しかし本場ドイツではリーゲルテレスコープが多く利用され需要があるため、レバーは既成パーターンを利用して製作を行う事が多いことをお話しくださいました。
午後は高木清孝技工士によるリーゲルテレスコープとレジリエンツテレスコープの製作デモンストレーションから始まりました。
まず最初に回転リーゲルと旋回リーゲルの製作ステップの違いについて説明されました。
回転リーゲルはレバーを最後に作りますが、旋回リーゲルは初めに作るそうです。
次に旋回リーゲルの製作デモに移りました。
大まかな製作ステップはレバー、内冠、外冠の順で製作していきます。
それぞれのステップのポイントを紹介したいと思います。
レバーを制作する際に、一度レバーが来る個所の最終外形を想定しワックスアップをします。
その舌側がレバーの外形になり、最終外形でもあるのでとても重要であるとおっしゃっていました。
レバーの設計も非常に大切です。
回転軸の位置などの設定の仕方をPCを利用して分かりやすく説明してくださいました。
内冠制作時のポイントはシュレーダーゲシーベです。
大きさや形、隣の支台より高くしてはいけない理由などを説明していただきました。
その他着脱方向の決定の基準、パラレル面の幅、様々なポイントを惜しみなく教えていただきました。
外冠制作のポイントはレバーの開閉幅の制御法、それを実現させるためのパターンレジン築盛手順です。
何も考えずにレジンを盛ってしまいそうなところを順番に丁寧に行う緻密さには驚くばかりでした。
またラボサイドとチェアサイド連携についても説明されていました。
レバー製作の前の段階で、支台歯が多ければ多いほど現在入っている仮歯の模型と仮形成の模型を一度見せて頂き、並行性やクリアランスの確認をお互い行えるため、より仕事がスムーズにできるそうです。
次にレジリエンツテレスコープの製作デモです。
レジリエンツ製作時のポイントは着脱方向の設定とキャスト後の内外冠の調整です。
着脱方向は基本的に粘膜優先ではなく、歯牙優先に行います。
前歯部のアンダーカットをなくすために、模型を倒しすぎると内冠の遠心にネガティブビンケルが多くできます。
そのために不潔域が多くできるのは好ましくないからです。
ではどうするのかといいますと、稲葉繁先生いわく回転して装着するので問題はないとのことでした。
技工士である私は固い模型としか接していないため、柔らかい粘膜に回転して装着するなど想像もできませんでした。
次に小西浩介先生からお話しいただきました。
小西先生はテレスコープシステムの使い分けや、1日目に受講生から質問されたチェアサイドでのテクニックついて詳しく触れられていました。
テレスコープシステムのそれぞれの適応症や禁忌症について御自分の症例を用いて説明され、適材適所に選択する事が大切だとお話しされました。
テクニックについてはコルクタアップドルックと言う印象方法について触れられました。
稲葉繁先生がドイツで学ばれた方法で、歯肉圧排をせずとも多数歯を時間をかけずにマージンまで鮮明に採得する画期的な方法です。
一つ一つ丁寧に分かりやすく説明していだたきました。
次に佐藤孝仁先生が高木清孝技工士とコラボレートとした上下顎同時印象法を応用したテレスコープシステムの症例をお話しくださいました。
上顎が総義歯、下顎がレジリエンツテレスコープの症例でした。
より詳細にチェアサイドのステップを、ラボサイドのステップは高木先生も交えながらその時の様子などをお話しくださいました。
この2日間で実際に製作ステップを見ることにより、受講生の皆様はテレスコープシステムについての理解がより深まったことと思います。
IPSGのテレスコープシステムのセミナーは年に2回しかありませんが、IPSGは包括治療を目指しているため、様々なセミナーや咬合に特化した咬合認定医コースも催しています。
ぜひ参加されてみてはいかがでしょうか。
お会いできる日を心よりお待ちしております。
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