下顎シュトラックデンチャー外形の重要性
こんにちは。
Weber dental labor 稲葉由里子です。
昨日は、下顎総義歯セット、下顎仮義歯セット、下顎レジリエンツテレスコープセット、3件の症例に小平デンタルラボの歯科技工士小平さんが立ち会いに来て下さいました♪
彼は、故岡部宏昭先生の唯一の弟子であり、シュトラックデンチャーの形態を完璧に再現できる方です。
1949年、ドイツチュービンゲン大学のDr.Reiner Strackが開発したシュトラックデンチャー。
シュトラックは義歯の安定をこれまでのギージーによる歯槽頂間線法則を否定し、口腔周囲筋を利用することによる安定を求めました。
シュトラックデンチャーのコンセプトは、「義歯が顆頭(顎関節)を誘導し、すり減ってしまった顎関節のリモデリングをする」ということ。
つまり、義歯が顎の関節を守るという、顎関節も含めた考えのもと生み出された方法です。
下顎において、1本でも2本でも残存しているのであれば、多少の動揺があったとしても抜かずに利用します。
インプラントにしなくとも、大変有効な手法だと感じます。
内冠の上には粘膜が沈み込むための200ミクロンの箔がついています。
そして、レジリエンツテレスコープの形態はシュトラックです。
レジリエンツテレスコープとシュトラックの形態が組み合わさると、最強だと思います。
従来の入れ歯は、装着を安定させるために顎舌骨筋窩、下顎の歯肉の形を舌の奥の方まで伸ばしていました。そのため、吸着はするけれど、舌が動くと入れ歯が外れやすいという欠点があると思います。
シュトラックデンチャーは、舌の前方あたりの柔らかいところ(サブリンガルルーム・舌棚)を利用して安定感を高めているので、舌を自由に動かすことが素晴らしいと思います。
この形状なら、嚥下をしても舌の動きを妨げません。
臼後三角の形は、咬筋を避け、かつ義歯の沈み込みをしっかりと受け止められるようになっています。
シュトラックデンチャーの独特な形態は、舌側にあります。
サブリンガルルームを利用するということは、舌のポジショニングも重要です。
口を開いたときに、舌のポジションがしっかりとあると、義歯の浮き上がりを防ぐことができます。
こちらの図を見ていただくと、舌がしっかりと義歯に密着しているのがわかると思います。
そして、もう一つのポイントは、リップサポート。
口輪筋でしっかりと義歯を抑え込める形にするのがとても大切です。
リップサポートがない義歯は口を開いた時に筋肉のサポートを利用できずにスルっと外してしまいます。
3件の症例を通して、小平さんには本当に助けていただきました。
歯科技工士の仕事は、技工物を製作する事だけではありません。
ドクターの治療を円滑にすること、そしてチェアーサイドの時間を短縮してくれる技工士が求められると思います。
大変な製作や調整も、患者様の笑顔で吹き飛んでしまうから不思議ですね☆彡
小平さんの義歯を一度経験すると、ドクターも勉強になると思いますので、ぜひオススメです!
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